ゆとりちよだNEWS

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N様からのご投稿 2018/07/09

会員様からのご投稿 7月号

ゆとりちよだNEWS160号


梅雨が明けてしまいました。6月に。早すぎるよぉ。ったく。これから2ヶ月(3ヶ月か)私たちは炎暑の日々を送らねばならないのだ。どーすりゃいいのか。と騒いでいましたら西日本から東日本にかけて大変なことになっている。「今までに経験したことのないような豪雨」。1時間に100ミリの雨なんていったら滝の真下にいるようなものなンぢゃないかしら。すでに多くの犠牲者が出ている。ご冥福を祈るとともに一日も早い復旧を祈ります。と、西の空を仰いでいましたらゆとりちよだ160号が届きました。さて、今月号には雨雲を吹き飛ばすようなたのしい情報は載っておるのでしょうか。

秋の上野の東京都美術館では「没後50年 藤田嗣治展」が開催されます。没後50年にふさわしい、精選された作品100点以上が展示される大回顧展になるそうです。おかっぱ頭に丸眼鏡、ちょび髭と独特な風貌で知られる藤田嗣治(レオナール・フジタ)。第1次世界大戦前のフランスに渡りモンパルナスに居を構えた彼は、モディリアーニ、パスキン、ピカソらと交友を深め、彼の名声は高まります。そして帰国。おりしも日本は中国と戦争中、さらに太平洋戦争が始まります。その間、「哈爾哈河畔之戦闘」や「アッツ島玉砕」などの戦争記録画を軍の指示により描きました。が、戦後、これらの作品によって「戦争協力者」として指弾された藤田は日本に嫌気がさしてフランスに戻り帰化します。そんな波乱万丈の人生を送った藤田嗣治。どんな作品が展示されるのでしょう。

「カフェ」 1949 油彩
皮張りのソファに座って胸の大きく開いた黒いドレスの若い女性がテーブルに頬杖をついてこちらを見つめています。テーブルの上には赤ワインのグラス、黒いバッグ、インク壺とペン。愛する人に手紙を書いていたのでしょうか。物思いに耽っているようです。

「二人の少女」 1918 油彩
ふたりの少女が横に並んで正面を見ています。ひとりは黒髪、ひとりは金髪(か)。表情が楳図かずおの描く妖鬼のようです。そういえば、バックに背後霊が描かれているように見えないこともないですね。

「自画像」 1929 油彩
ピアスをしています。この時代、ピアスをする男なんてめったにいなかったんぢゃないかしら。ほんと、ユニークですね。テーブルの上には墨と硯。手には極細の毛筆。これで輪郭線を描いたんでしょうか。藤田にもたれて愛猫が主人の仕事ぶりを見つめています。

「タピスリーの裸婦」 1923 油彩
待ってました!! 藤田描く裸婦ですよ。フランス更紗の壁布を背景にしてベッドに腰かけた裸婦が髪を搔き上げています。傍らには寝そべる猫。頬をピンクに染めた美女の肌は藤田の代名詞といえる「乳白色の肌」。近年の研究ではこの白色の素材は天花粉(シッカロール)だったんだとか(!)。道理で藤田描く女性の肌は赤ちゃんのように肌理細かく滑らかなんだ。

今展では、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けて展覧するそうです。藤田を語るとき戦争記録画を避けるわけにはいかないとおもうけどどうなのかしら。昔、彼の描いた巨大な戦争記録画を観たことがあります。戦意高揚ぢゃなくって反戦的だと感じました。戦後、フランスへ戻って二度と日本の土を踏むことがなかった藤田。猫と廣澤虎造を愛した望郷の画家に思いを馳せるのも悪くはないでしょう。

今月号も話題満載・・・とはゆきませんでした。いまひとつ興味を引く催しがなく、かような仕儀と相成りました。すみません。が、しかし。来月号を待ちましょう。乞御期待。