ゆとりちよだNEWS

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N様からのご投稿 2016/11/11

会員様からのご投稿 11月号

ゆとりちよだNEWS No.140

年賀はがきの売り出しが始まり、今年もあと2ヶ月弱。職場の周りの落葉が急に増えてきました。モンタンの「枯葉」を口ずさみながら木枯らしが吹いたあとのサクラの落葉を竹箒で集めていましたら、ゆとりちよだ140号が届きましたよ。さぁて、今月号にはどんなたのしい情報が載っておるんでありましょうか。

まずご紹介するのは上野の国立西洋美術館で開催される「クラーナハ展―500年後の誘惑」です。ルカス・クラーナハ(父)は16世紀ドイツルネサンスを代表する画家。不思議なエロティシズムを湛えた女性たちを数多く描いています。待ちに待った、本邦初となるその大回顧展をいよいよ私たちは観ることができるのです。さて、どんな作品でしょう。

ホロフェルネスの首を持つユディット
今展の目玉ですね。世の中に女傑は多いけれどこの人の右に出る女性はいないでしょう(巴御前がいる?それは・・・まぁ、あらためて)。包囲された敵陣に赴き、酔わせた敵将・ホロフェルネスの首を斬り落とした金髪の美女・ユディット。そのユディットを描いています。表情は冷静沈着そのもの。血糊の付いた両刃の剣を右手に持つユディットは、それがどうかしたのと問いかけているようです。まなざしにはなんのためらいもありません。怖いゼ。あわれ首の切断面(食道、気管等)を曝して半眼で虚空(ユディットかも)を見つめるホロフェルネス。その血のこびりついた髪をしっかとつかんだ左手は生々しい凄惨な殺害現場をイヤでも観る者に想像させます。生首とクールな美女との対比。鮮烈な印象を刻むこの絵を観たら一生忘れられないんぢゃないかしら。スゴイ絵です。

正義の寓意
右手に剣、左手に天秤を持った正義の女神。正面から描いた全裸の女神の視線は観る者に向けられています。そのまなざしは、誘うでもなく挑発するのでもなく憐れむのでもなく、感情の在りかのわからない(バカにしとるのかも)曖昧模糊としたものです。全裸の上に天女の羽衣(見たことないけど)より薄い薄い薄い薄い薄~~~いヴェールを着た(といえるのか)女神は全裸であるよりはるかにヌーディー、エロティックです。が、正視する彼女の目の奥には観る者の欲望(ヤらしい目で観るんぢゃないよ)をきっぱりと拒絶する力を宿しています・・・なんやねん、これは(!)。

マルティン・ルターの肖像
宗教改革で知られるあのルターです。1517年、贖宥状を販売するローマカトリックの腐敗を弾劾した文書を聖堂の扉に掲示。宗教改革の嚆矢となりました。クラーナハがルターの肖像を描いていたなんて私は今展で初めて知りました。恥ずかしい。が、それはともかく、クラーナハとルターは近しい関係にあったんだそうです。画家と宗教家。なにが彼らを結びつけたのでしょうか。興味津々ですね。で、肖像画であります。このルターの肖像は教科書でもおなじみでしょう。強大な権力に立ち向かった意志強固な神学者の顔がここにあります。

あれから500年。展覧会のサブタイトル「500年の誘惑」の含意は、時空を超えてさらに輝きを放ち、私たちを蠱惑するクラーナハの魅力にほかなりません。

次にオススメするのは両国の江戸東京博物館で開催されている「戦国時代展~A Century of Dreams~」です。戦国時代は戦乱により荒廃した時代であると私たちは教科書で教わりましたが、近年の研究ではそんなイメージがくつがえされつつあります。室町幕府の衰退により織田信長をはじめとする有力大名たちは領国経営に力を入れ、その結果、絵画や茶の湯など京都の文化が全国各地へもたらされたとゆうワケです。では、どんな歴史的文化的資料が展示されているのでしょうか。

川中島合戦図 米沢本
上杉謙信vs武田信玄の一騎打ちが描かれています。川の中の騎馬武者ふたり。大刀で信玄に切りつける坊主頭の謙信。かたや鉄の軍配で太刀を受け止める信玄。映画・TVでおなじみのシーンですね。

織田信長像
朝廷の正装である衣冠束帯姿の信長です。見慣れている裃姿の信長像とは違い相当に威厳があります(顔だちも違うね)。これが「魔王」と恐れられた信長か。観る者が居住まいを正してしまいます。

黒塗紺糸威具足
昔、サントリー美術館で兜の展覧会があったけど見逃してしまいました。も一度やってほしいな。で、黒塗紺糸威具足です。秋田の佐竹義重愛用。毛虫をイメージした前立の兜です。毛虫は前進のみで後退しないから縁起を担いだらしい。黒い棒状のもの(毛虫の本体?)を横にして取り付けその両側に「毛」のつもりなのでしょうか、黒い羽根のようなものが沢山植え付けてあります。これぢゃ気持ち悪がって敵は寄せてこないかもしれませんね。

刀 義元左文字 無銘  重要文化財
刀の根元の表に「義元討補刻彼所持刀」、裏に「織田尾張守信長」と金象嵌で銘が刻まれています。桶狭間の合戦で今川義元が所持していた刀を織田信長が戦利品として持ち帰ったのだそうです。

上杉家文書  国宝
旧米沢藩主・上杉家に代々伝わった古文書群。今展の白眉でしょう。織田信長、上杉謙信、徳川家康など戦国大名の書状や起請文が展示されます。どんなことが書いてあるのかしら。早く見てみたい。

上杉本 洛中洛外図屏風  国宝
映画「七人の侍」で三船敏郎演じる菊千代が盛り土に数本の刀を突き刺し取り替えながら野武士たちと切りあうシーンがありました。そのモデルとなった悲劇の剣豪将軍・足利義輝が絵師・狩野永徳に描かせ、その死後に入手した織田信長が上杉謙信に贈ったとゆう由緒正しき屏風であります。京の都の市街(洛中)と郊外(洛外)を緻密に描いた屏風。いくら観ても観足りないくらいの情報量があります。

歴史ファン、戦国ファン必見の戦国時代展。会期中に展示替えがあります。11,12月は西国の将軍・大名、1月は東国の大名を中心に展示されるそうですのでご注意ください。

その他にも、六本木の森アーツセンターギャラリーではヴェルサイユ宮殿≪監修≫の「マリー・アントワネット展~美術品が語るフランス王妃の真実~」が開催されます。愛用の食器セットのほかヘアバンド、肌着、最期に履いていた短靴。「プチ・アパルトマン」と呼ばれる、彼女の居室、浴室、図書室のプライベート空間を再現。さらには、スウェーデン人将校・フェルセン伯爵との秘められた恋の証拠の品々も展示されるそうです。これはもう、ベルばらファン垂涎の展覧会でしょう。有楽町の有楽町朝日ホールでは「桂文枝 新春特選落語会」がありますよ。文枝の創作落語の数々。初笑いに有楽町まで出かけましょうか。金井克子、前田美波里、中尾ミエの実力派アラセブが歌って踊るヒューマンドラマとレビューショー。天王洲アイルの天王洲劇場でTheレビュー「カーテンコールをもう一度!」が上演されます。久しぶりに美熟女たちのパワーたっぷりのステージを体感しにゆきましょうか。

今月号も魅力満載ゆとりちよだでした。アキバのみなさまには・・・可笑しくもないダジャレを連発している日向さんがお持ちしました。おタノシミに。