ゆとりちよだNEWS

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N様からのご投稿 2017/03/13

会員様からのご投稿 3月号

ゆとりちよだNEWS No.144

先日飲み会があって横浜中華街にゆきました。久しぶりの中華街は(ン十年ぶり)すっかり様変わりしており、イチバン驚いたのは飲み放題、食べ放題の店が増えたこと。全体の三分の一から半分近くがそうぢゃないかしら。そして、占いの店。いっぱいある。横浜くんだりまで来て占いをしてもらおうなんて物好き(若い女性デス)がいるんだ。さらに。市場通りなんて、もう、市場ぢゃなくなっているね。肉まん店や足裏マッサージ店なんてのができちゃってる。あのころは八百屋や魚屋があって、そのうちの一軒の店で当時珍しかったスターフルーツを買った覚えがある。そして、アッと驚いたのが航海の安全を守る海の神・媽祖(まそ)を祀る横濱媽祖廟。恥ずかしながら、2006年に建てられたとゆう廟の存在を今回はじめて知りました。きんきらきんの極彩色。う~ん、立派なものです。三国志の英雄・関羽を祀る関帝廟にひけをとりません。線香代¥500をけちってお参りしなかったのがザンネンだったかな。と、ちょっぴり悔やんでいましたらゆとりちよだ144号が届きましたよ。さぁて、今号にはどんなタノシイ情報が載っておるんでありましょうか。

まずご紹介するのは、上野の東京国立博物館平成館で開催される特別展「茶の湯」であります。これは必見でしょう。国宝、重文に指定されている大名物(おおめいぶつ)がずらり。
国宝 油滴天目  大阪・大阪市立東洋陶磁美術館
秀吉により切腹を命じられた関白秀次が所持していた由緒正しい茶碗です。見込みに展開する満天の星のような油滴はいつまで観ても飽きることがありません。
国宝 大井戸茶碗 銘 喜左衛門  京都・狐蓬庵
天下一と評される高麗茶碗です。竹田喜左衛門なる人物が大金を出して手に入れたものの没落。それでも死ぬまで手放さなかったいういわれがあるそうです。琵琶色の釉、大ぶりで豪快な姿には目を見張ります。落語「井戸の茶碗」はこんな茶碗だったんでしょうね。
国宝 志野茶碗 銘 卯花墻(うのはながき) 東京・三井記念美術館
日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されている二碗のうちのひとつ。卯の花の咲く垣根に見立てた銘です。ちなみにもう一碗は本阿弥光悦の白楽茶碗 銘 不二山。志野といえば私たちのまわりにはいっぱいありますね。どういうワケかトンカツ屋でトンカツを頼むと志野のお皿で出す店が多いようにおもいます。
その最高峰が卯花墻。これは観なくっちゃ、ね。
最近、「開運!なんでも鑑定団」で中島センセが2500万円の鑑定額をつけたってんで話題になった「曜変天目」の正真正銘のホンモノ(国宝)が展示されます。日本に(すなわち世界に)三碗しかないといわれる南宋建窯(なんそうけんよう)の曜変天目。所蔵するのは東京の静嘉堂文庫美術館、大阪の藤田美術館、京都の大徳寺。私は大徳寺以外の二碗をすでに観ていますが、たぶん静嘉堂文庫美術館所蔵の曜変天目がイチバン素晴らしいんぢゃないかとおもいます(「大徳寺」は写真でしか観てないけど)。その静嘉堂文庫美術館の曜変天目を上野で間近に観ることができるんですよ。あぁた。漆黒の宇宙に輝く七色の煌めき。もう、うっとりとしてしまいます。話は変わりますが、世界で一番の中国のやきものは何かという議論になると、大阪市立東洋陶磁美術館の特別展で現在展示されている北宋汝窯(ほくそうじょよう)の青磁水仙盆と、この南宋建窯の曜変天目のふたつに意見がわかれるそうです。そんなスゴイ曜変天目。上野のお山に、さあ、観にゆきましょう。なお、曜変天目の展示期間は4月11日か5月7日までです。ご注意ください。それから。ほぼ期を同じくして竹橋の東京国立近代美術館では「茶碗の中の宇宙」展が開催されます。桃山時代の樂家初代長次郎から現代までつづく一子相伝の樂焼。15代それぞれの代表作によって展覧されます。ろくろを使わず手捏ねによってつくられる樂茶碗の粋。期せずして大阪・東京でやきものの極致を私たちは観ることができますよ。
ご注意:「茶碗の中の宇宙」展、特別展「台北 國立故宮博物院―北宋汝窯青磁水仙盆」のいずれもゆとりちよだではチケットをあっせんしていません。

次にオススメするのは六本木の森アーツセンターギャラリーで開催される「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター西洋絵画の巨匠たち」です。帝政ロシアを最盛期に導いた女帝エカテリーナ2世。彼女が収集した美術品はのちにエルミタージュ美術館に収められ世界屈指の美術館となったわけであります。そのエルミタージュ美術館が誇る、オールドマスターと呼ばれる14世紀~18世紀のヨーロッパの巨匠たちの絵画がやってきます。レンブラント、ブリューゲル2世、ルーベンス、ティツィアーノ、ヴァトー、フラゴナール、クラーナハ等々。とりわけ(私の)目を引くのはクラーナハの「林檎の木の下の聖母子」であります。先般、私たちは上野の国立西洋美術館でクラーナハの「ホロフェルネスの首を持つユディット」を観たばかりです。その目で「林檎の木の下の聖母」を観ると・・・なんと!!ユディットと聖母マリアは瓜ふたつ、卵みっつ。かたや氷の微笑の美女、かたや慈愛に満ちている(ハズの)母親。テーマは全く違う、とゆうより正反対。でも、そっくりだ。二重顎、金髪のところまで。双子の姉妹といっても不思議におもわないだろ。ユディットは右手に剣を、左手にホロフェルネスの首を掴んでるけど、聖母の方は左手でキリストのお腹を抱き、右手で下腹部を隠している。その違いだけだ。ユディットの魔性とマリアの聖性。えれぇオモシロイな。そしてさらに。キリストが左手に持つ林檎は人間の原罪を示すのだろうけど、不思議なのは木になっているたくさんの林檎も含めてすべてお尻(ヘタぢゃないほう)をこちらに向けていること。きっとなにか意味があるにちがいない。こりゃぁ、やっぱ、六本木へ行って確かめなくっちゃいけないね。

そのほかにも、人形町の明治座では月形半平太が上演されます。明治座五月花形歌舞伎昼の部です。「月さま、雨が・・・」「春雨ぢゃ、濡れてゆこう」。ご存知、「月形半平太」の名セリフですね。演じますは、梨園の貴公子、ラブリンこと片岡愛之助であります。土佐勤皇党の盟主・武市半平太をモデルにした月形半平太(芝居では長州藩士)の恋と剣の物語。坂本龍馬、中岡慎太郎、桂小五郎など幕末のスターたちが登場する新国劇の芝居をどう歌舞伎に料理するのか。興味津々ですね。

今月号も話題満載、ゆとりちよだでありました。アキバのみなさまには、「徳利の別れ」で知られる赤穂四十七士のひとり赤垣源蔵の末裔、赤垣さんがお持ちになりました。おタノシミに。