ゆとりちよだNEWS

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N様からのご投稿 2018/02/13

会員様からのご投稿 2月号

ゆとりちよだNEWS155号

 東京が冷凍庫になっちゃいました。身を切る寒さと大雪です。雪が降れば積もる。積もれば歩けない。で、雪かきをせにゃならぬ。やりましたよ、あたしゃ。雪かき用の道具もシャベルもないから、幅30cm長さ1mほどの板で、老体に鞭打って。手袋をしてたんだけど、板の角が手のひらに当たって痛い痛い。まるでキリストの聖痕のようです。でも、キリストはもっと痛かったんだろうな(痛いなんてもンぢゃないね)。と、アホなことを考えながら降りしきる雪を眺めていましたらゆとりちよだ155号が届きましたよ。さあて、今月号にはどんなたのしい情報が載っておるんでありましょうか。

 まずご紹介するのは、六本木のサントリー美術館で開催される「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」展です。江戸時代初期、朝廷の主として江戸幕府と熾烈な権力闘争を繰り広げた後水尾天皇(ごみずのおてんのう、後に法皇)は学問、諸芸に通じた教養人でもありました。その後水尾院のもとで洗練された雅な宮廷文化は寛永時代に入り大輪の花を咲かせることになります。今展では茶人・小堀遠州(こぼりえんしゅう)、陶工・野々村仁清(ののむらにんせい)、絵師・狩野探幽(かのうたんゆう)の3人を中心に「寛永の雅」を通覧できるそうです。
 では、小堀遠州から始めましょう。日本庭園の最高峰とされる桂離宮庭園や天皇を譲位した後水尾院のために造営された仙洞御所の築庭に携わった小堀遠州。織部焼で知られる古田織部の茶の弟子でもあった遠州は宮廷文化の雅を茶の湯の世界に取り入れようとして、のちに「きれい寂(さ)び」と呼ばれる独自の世界を築きます。その遠州が茶会で実際に使用したとみられる小井戸茶碗 銘 六地蔵なんて朝鮮時代につくられた茶碗が展示されるそうです。
 京焼といえば鮮やかな色絵の陶器として知られていますが、その大成者である野々村仁清の作品が展示されます。色絵花輪違文茶碗(いろえはなわちがいもんちゃわん)。瀬戸黒のような地に錆色と青色で花輪が描かれています。国宝の色絵藤花図茶壺(いろえとうかずちゃつぼ)なんかに比べるとかなり地味ですね。そして驚くべきは白釉円孔透鉢(はくゆうえんこうすかしばち)であります。私、初見です。いっぱい孔を開けた白釉の丸い茶碗。これでお茶はゼッタイ点てられませんね。鑑賞するためにのみつくられた(のだろう)奇抜な作品です。
 江戸幕府の御用絵師として明治までつづく狩野派の礎を築いた狩野探幽は豪壮な唐獅子図で知られる狩野永徳の孫です。が、祖父とは異なり余白と淡彩によって新たな境地を切り開きます。そんな探幽が描いた桐鳳凰図屏風(きりほうおうずびょうぶ)六曲一双。吉祥の鳥・鳳凰が桐の花咲く川辺で憩っています。

 さあて、では、「寛永の雅」をしっかと体験しに六本木へゆきましょうか。

 1868年(明治元年)11月12日、日本スペイン修好通商航海条約が締結され、両国の間に外交通商関係が樹立されました。その150周年にあたる本年、首都マドリードにあるプラド美術館から傑作群がやってきます。上野の国立西洋美術館で開催される「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」です。今世紀になって「プラド美術館展」はすでに4回開催されていますが、2011年の「ゴヤー光と影」展では「着衣のマハ」が展示されたのが強く印象に残っています。今回はスペインの黄金時代を築いたフェリペ4世の宮廷を中心にして17世紀に花開いたアートシーンを再現してくれるそうで、とりわけ宮廷画家であったベラスケスの大作7点が揃って来日するのが目玉になるようです。少し覗いてみましょうか。

ベラスケス 王太子バルタザール・カルロス騎馬像  1635年頃
 211.5×177cmの大作です。フランスの太陽王ルイ14世の妃と なったマリア・テレサの兄ですが、16歳で急逝してしまいます。そのことを知ってあらためて観ると、この子はどんな王になっていたのだろうかと感慨深いものがありますね。

ヤン・ブリューゲル(父)、ヘンドリク・ファン・バーレン、ヘラルト・ヘーセルスら 視覚と嗅覚  1620年頃
 これも大作です(176×264cm)。描いた画家の名の後に「ら」が付いているのがスゴイですね。巨大な部屋に二人のふくよかな女性(視覚と嗅覚を象徴してるそうです)とキューピッド、そして、ギャアァァ!!絵の中にいったい何点の絵と彫刻が飾ってあるのかしら。宗教画、静物画、風景画、歴史画、肖像画・・・ローマ時代らしい彫刻もある。ざっと数えても50点は下らない。小さな美術館の所蔵品並みだね。これだけ観たらほかはもういいや、なんて気分になるんぢゃないかしら。

ティツィアーノ 音楽にくつろぐヴィーナス  1550年頃
 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠が描くヴィーナスです。ベッドに横たわって犬を撫でている裸のヴィーナスと金属製のメドゥーサの首(!)を取り付けたパイプオルガン(か)を弾いている男。何故か男は長剣を佩き、その視線の先は・・・なにを見とるんぢゃい!!

と、まぁ、今月号も魅力満載のゆとりちよだでした。アキバのみなさまには・・・
神田のジョニーがお持ちしました。おタノシミに。