ゆとりちよだNEWS

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最新情報 2018/11/07

会員様からのご投稿 11月号

ゆとりちよだNEWS No.164

朝晩めっきり涼しくなりました。プロ野球の日本シリーズが終わるころには木枯らしが東京の街を吹き抜けるとおもっていたんですが今年は遅いようですね。公園を散策しても落葉はそれほどでもありません。ま、東京の紅葉はこれからですもンね。と、うすく色づいてきたイチョウの梢を眺めていましたらゆとりちよだ164号が届きましたよ。さあて、今月号にはどんなタノシイ情報が載っておるんでありましょうか。

まずご紹介するのは、上野の東京国立博物館 平成館で開催される特別展「顔真卿 王羲之を超えた名筆」であります。王羲之(おうぎし)といえば中国の書道史上最高の名筆「蘭亭の序」で知られる書聖ですが、その王羲之を超えたと称賛される顔真卿(がんしんけい)とはどのような人物なのでしょうか。唐の玄宗、粛宗、代宗、徳宗の4代に仕えた高級官僚である顔真卿。玄宗時代に安史の乱(玄宗の寵臣・安禄山と史思名の反乱 このとき玄宗の愛姫・楊貴妃は縊死されます)により従兄の末子・顔季明ら親族を殺されます。その死を嘆き悲しんだ顔真卿は塗りつぶされた34文字を含め259文字の追悼文を書き上げました。それが今回台北の國立故宮博物院からやってくる肉筆の真蹟「祭姪文稿(さいてつぶんこう)」です。トーハクのホームページに掲載されているその現代語訳を読むと顔真卿の悲しみがひしひしと伝わってきます。書は人なり。一字一句に込められた顔真卿の叫びは1200年の時空を超えていま私たちの眼前に展開されようとしています。さあ、年が明けたら歴代の皇帝が至宝として秘蔵してきた祭姪文稿を体感しに上野のお山にゆこうではありませんか。
https://ganshinkei.jp/

参議院議員であった山口淑子といえば戦前、李香蘭の名で活躍した歌う美人女優ですが、彼女をモデルにした劇団四季の「李香蘭」の華やかなステージでは羽毛の扇子や骨の長い扇子を軽やかに操りながら主人公が「夜来香」や「何日君再来」を歌います。私、扇子は中国から入ってきたものだとばかりおもっていましたが、実は日本の発明品だったんです。知りませんでした。中国から伝わった団扇(うちわ)をもとに折り畳み式の扇が日本でつくられたのだそうです。さて、そこで。六本木のサントリー美術館で「扇の国、日本」展が開催されます。「日本人が愛した『扇』をめぐる美の世界」を紹介してくれるそうです。これは見ものですね。扇の嚆矢は奈良時代に儀式用につくられた檜扇(ひおうぎ)だとか。薄い板を重ねて綴じたものです。そして、私たちが普段使っている涼をとるための紙の扇が平安時代初めにはできます。では、日本文化の中で生み出された多彩な扇の美を観てゆきましょう。

彩絵檜扇 重要文化財 平安時代
竜田川の紅葉でしょうか。緑の山と青い川、一面に紅葉が描かれています。

扇面流図 重要文化財 襖絵 江戸時代
水面に扇を投げて流れゆくさまを楽しむ遊び「扇流し」。こんな優雅な遊びは平安貴族でなくちゃできないでしょうね。私には扇子を水に流すなんてことはもったいなくてデキマセン。

舞踊図 江戸時代
着物もポーズも異なった扇を持つ六人の美女の舞姿です。彦根屏風を彷彿とさせます。

扇屋軒先図 江戸時代
店先で竹を削って扇子を作っている図です。軒先の暖簾の図柄も扇をあしらっているのが心憎いね。

源氏物語絵扇面散屏風 室町時代
扇面に「若紫」「末摘花」など源氏物語五十四帖の各場面を描き屏風に仕立てました。

織部扇面形蓋物 桃山時代
大胆な意匠で知られる織部焼の扇形の蓋つき容器です。

一の谷合戦図屏風 海北友雪 江戸時代
六曲一双の左隻には巨大な扇の真ん中に騎乗して海へ逃げる平敦盛、右隻には浜辺から返せ戻せと大音声で呼ばわる熊谷次郎直実を描いています。扇面の中に人物を一人のみ描くことによってこの屏風図は引き締まっているんぢゃないでしょうか。緊張感があります。

「扇の国、日本」。では、その神髄を確かめに年末は六本木にゆきましょう。

このほかにも、千駄ヶ谷の国立能楽堂では、富士の裾野の巻狩りで憎っくき父親の仇・工藤祐経を討った曽我兄弟を題材にした「曽我物」のひとつ能「夜討曽我」が演じられます。従者に形見の品を母親に届けさせて死地に向かう曽我兄弟。一方、狂言で演じられるのは野村萬斎がシテを務める狂言「ぬけがら」。酔って寝込んだ太郎冠者を主人が懲らしめのため鬼の面をかぶせます。さて、目を覚ました太郎冠者は・・・。
12月は「第九」の月。有楽町の東京国際フォーラム ホールAでは、ウクライナ国立歌劇場管弦楽団「クリスマス・スペシャル・クラシックス 聖なる日に響き渡る、歓喜のコーラス」が、そして初台の東京オペラシティ コンサートホールでは「東京フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェン『第九』特別演奏会」を体感できますよ。
そして年が明けると、渋谷の東急シアターオーブでは「ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2019」が開催されます。サウンド・オブ・ミュージック、ウエスト・サイド・ストーリーなどミュージカル作品のスタンダードナンバーが目白押しですよ。さらに、初台の東京オペラシティ コンサートホールにはウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団がやってきます。「ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団 ニューイヤー・コンサート2019」です。なんと、開演前の「リハーサル見学付き」だそうです。ところで、話はまったく変わりますが、先日、スタンリー・キューブリックの1968年製作「2001年宇宙の旅」をン十年ぶりかに観ました。いやあ、面白かったデス。新しい発見もありましたし(宇宙船のコックピットの計器盤に「IBM」の文字が!)。で、巨大な宇宙船が月に向かうシーンのバックミュージックには「美しく青きドナウ」が流れるんですね。ドナウ川と宇宙船。静かにゆったりと流れる大河の音律とともに進む宇宙船の映像は私たち観客をうっとりとさせてくれました(50年前の特撮技術がスゴイ!)。そんなワケで、みなさま。初台で宇宙の彼方に思いを馳せてみるのも悪くはないのでは。

今月号も話題満載ゆとりちよだ164号でした。アキバのみなさまには・・・交換便でお送りしました。おタノシミに。